大阪高等裁判所 昭和53年(ラ)67号 決定 1978年4月26日
主文
一、原決定を次のとおり変更する。
二、京都地方裁判所昭和五三年(ワ)第八一号損害賠償請求事件について、抗告人らに対し訴訟上の救助を付与する。
理由
一、本件抗告の趣旨と理由は別紙(四)記載のとおりである。
二、当裁判所の判断
一件記録によると、別紙(一)の一審原告番号7のA、B、Cの各抗告人らについては、その世帯主Bの税込年収が四七八万六、五〇五円であり、その余の抗告人らについても各世帯主の同年収は三〇〇万円以下であって、現在の社会、経済状況からみれば、いずれも比較的少額であるというべく、しかも、前記別紙(一)記載の一審原告番号1ないし31の各A、B、Cの抗告人らはそれぞれ同一世帯内にあり、各世帯主において他の抗告人二名の訴訟費用をも事実上負担せざるを得ないものといえるし、その被扶養者である抗告人各Aが現在筋短縮症に罹患していてその治療費等にも相当の負担を余儀なくされていること、及び本件訴訟の性質に照らして訴状貼用印紙額以外にもかなり多額の裁判費用を必要とすることが予測される。これらの事実を総合して考えると、抗告人らはいずれも民事訴訟法一一八条にいう「訴訟費用ヲ支払フ資力ナキ者」に該当するものといわねばならない。
そして、本件訴訟が「勝訴ノ見込ナキニ非サル」場合にあたることが一件記録によって認められるところであるから、抗告人らに対し、本件訴訟につき訴訟上の救助を付与すべきものである。
したがって、抗告人らの訴訟上の救助申立を一部却下した原決定は却下部分に限り不当であるから、その変更を求める本件抗告は理由がある。よって、原決定を主文記載のとおり変更することとし、主文のとおり決定する。
(裁判長裁判官 下出義明 裁判官 村上博巳 吉川義春)
<以下省略>